コラム

スバルが造った唯一のミニバン、エクシーガのリセール価格とは?もう出てこないかも知れない3列シート、7シーターパノラマツーリング

スバルが生産したクルマで「ミニバン」と呼ばれるモデルは、実はたった一つしかありません。それは2008年に登場したエクシーガです。
それまでに発売されていたモデルで「3列シート」を備えていたドミンゴは、軽自動車のサンバーをベースに排気量を拡大して7人乗りにしたもので、ミニバンのカテゴリーではありませんでしたし、また同じく3列7人乗りのトラヴィックは、スバルブランドではありましたが、オペルが開発してゼネラルモーターズが製造していました。エクシーガも当初は「ミニバン」ではなく「多人数乗り車」と紹介されていましたが、のちに2012年のマイナーチェンジでEyeSightVer.2が搭載された時のキャッチコピーが「ぶつからないミニバン?」でしたので、おそらくメーカーとしても当初から「ミニバン」という認識だったものと思われます。
ミニバンといえどそこはスバルです。水平対向4気筒エンジン、フルタイムAWD、フロントがストラットでリアはダブルウィッシュボンの四輪独立懸架など、スバルのアイデンティティを守った贅沢な構成です。今回はこのエクシーガについて、モデルの概要、中古価格、リセール価格などをご紹介したいと思います。

エクシーガとは


出典:ウィキメディア
スバル・エクシーガは2008年6月17日に発売されました。レガシィと共用のプラットフォームに、7人乗りの3列シートを備えたボディを組み合わせたファミリーカーです。3列シートは、フロント、セカンド、サードと後ろに行くほどシート位置を高くしたシアターシートレイアウト。またオプションですが2列目までカバーする大きな開口を持ったパノラミック・ガラスルーフも用意されていました。これは「7シーターパノラマツーリング」というコンセプトのもとに、見晴らしのいい開放的な車内空間を確保するためです。
エンジンは当初は2リッターのみで、可変バルブ機構付のDOHC16バルブ水平対向4気筒NAエンジンと、同じ仕様のインタークーラー付ターボエンジンが用意されていました。それぞれ148ps/19.5kg-m、225ps/33.2kg-mの出力で、NAは4速AT、ターボには5速ATガ組み合わされていました。なお、MTの設定はありませんでした。駆動方法はNAモデルはFFとフルタイムAWD、ターボモデルはフルタイムAWDのみの設定でした。2009年9月2日のマイナーチェンジで、NAモデルからトランスミッションにリニアトロニックCVTが導入され始めました。これはCVTのパイオニアのスバルがさらに改良を加えた新しい無段階変速ミッションで、それまでのCVTを改良して金属ベルトの代わりにチェーンを使用し、変速のレンジを広く取れるようにした画期的なシステムです。
2009年12月24日、2.5リッターのEJ25型エンジンを搭載した新グレードが加わりました。2.5i-Sと、アルカンターラを使用したシートにMOMO製本革巻きステアリングを採用した2.5i-Sアルカンターラセレクションです。なおトランスミッションは新たにパドルシフトを採用したリニアトロニックCVTでした。2012年7月3日のマイナーチェンジでは、2.5リッターモデルのエンジンがFB25型の新世代エンジンになりました。2015年4月、エクシーガ クロスオーバー7への移行に伴って、販売を終了しました。

エクシーガ クロスオーバー7とは


出典:ウィキメディア
2015年4月16日にモデルチェンジで誕生したエクシーガ クロスオーバー7は、それまでのミニバンからクロスオーバーSUVというカテゴリーになりました。最低地上高を170mmに上げて、横幅も25mm広くなっています。ボディの形状を変更したり、17インチのアルミホイールを採用するなど、SUVらしい力強いスタイルを表現しています。
サスペンションは新たに開発されたものになり、駆動方法はシンメトリカルAWDです。しかしモデルとして販売された期間は短く、2018年3月30日には販売が終了します。これによって、日本で販売されるスバルからは3列シート車が消えてしまいました。またそれ以降現在に至るまで出ていないので、最後のモデルということになります。なお、エクシーガという車名は、エキサイティングとアクティブを組み合わせた造語です。

エクシーガ、エクシーガ クロスオーバー7の中古車価格とリセール価格

エクシーガ、エクシーガ クロスオーバー7を含めて、トータルで10年間生産されましたが、中古車はあまりタマ数が多くないようです。エクシーガに関しては、比較的年式の古いものが多く、新しくなるほど少ない傾向です。中古車の価格帯としては、2008年式で20万円から70万円台、2011年式で30万円から110万円台、2014年式になるとぐっと上がって80万円台から140万円辺りのようです。総じてリーズナブルな印象ですね。エクシーガ クロスオーバー7は、2015年式で150万円から240万円、2016年式では160万円から250万円、2017年式は180万円から250万円以上のようです。比較的年式が新しく、また短い間しか造られなかったからか、タマ数も少なめで寝落ちも少ない印象ですね。
エクシーガの買取価格は、総じて年式が古いこともあり、かなり下がってしまうようです。特に5年落ちと7年落ちの差が大きい印象です。これはこの時期、2リッターから2.5リッターにメインがシフトしたので、元々の価格帯が上がったからという事情もあるかも知れません。年式による価格落ちは大きく、さらに10年落ちになると、値段が付かない場合もありそうです。おおよその価格帯から買取価格を調べてみると、
5年落ち 60-100万円 残価率約32%
7年落ち 20-50万円 残価率約16%
10年落ち 5-20万円 残価率約4%
といったところのようです。対して、エクシーガ クロスオーバー7は、年式が新しいこととタマ数が少ないこともあるのでしょうか、比較的寝落ちが少ない印象です。
3年落ち 160-190万円 残価率約65%
5年落ち 130-170万円 残価率約55%
デビュー当時、エクシーガは2リッターモデル中心でややリーズナブルな価格帯を狙ったファミリーカーでした。しかしモデル後期から2.5リッターが中心になり、価格帯も変わりました。この傾向はクロスオーバー7でも続きます。さらに中古市場ではエクシーガは年式が古い方がタマ数が多いという事情もあって、その辺りの価格が崩れてしまっている感があります。
しかし反対に、これから中古車を買って乗りつぶす方向で考えれば、この辺りを狙ってみてもいいかもしれません。初期型でもまだ10年ちょっとですから、程度のいいのを見つければまだまだ乗れそうです。7人乗り、独立懸架、AWD、パワフルなターボエンジン。内容としては今も十分に魅力的なクルマだと思います。
[ライター/小嶋享]

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ユーズトカーラボ 編集部
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