2020年秋の国内における生産終了がアナウンスされたレガシィB4ですが、人気の北米市場に合わせて生産拠点をアメリカに集約することが予定されています。ここでは、レガシィB4が海を渡った理由やリセールバリューについてご紹介させていただきます。
6代目まで続いたレガシィB4の歴史
出典:ウィキメディア
レガシィのセダンモデルは、1989年にレガシィセダンとしてデビューしますが、最大の売りは独特のサウンドを奏でる最高出力220psのボクサーターボエンジンでした。そのターボモデルのみが装備するボンネットのエアインテークは、スポーツセダンの雰囲気を醸し出すアイテムとして、2代目以降も受け継がれていきす。また、レガシィはこの大柄なセダンでWRCに挑戦し、1993年には初優勝を遂げております。
1996年には、2代目のレガシィセダンの後期モデルが自主規制枠いっぱいの280psに到達します。そして、ツーリングワゴンと共にレガシィブームが巻き起こります。1998年発売の3代目BE系で、はじめてB4の名が与えられますが、この3代目で人気の絶頂期を迎えます。
しかし、レガシィB4はモデルチェンジを重ねるごとに、人気のアイテムを失っていきます。4代目BL系では等長エキゾーストでボクサーサウンドを失います。5代目BM系ではボディサイスの大型化でデザイン面で不評を買います。最後の6代目BN系では看板であるはずのターボとMTさえも失ってしまいレガシィのセダンの歴史に幕を閉じます。
「レガシィB4」車名の由来は?
レガシィB4の車名の由来は、先ずレガシィは、英単語の「legacy」をカタカナ読みしたものですが、主な意味としては「先祖伝来のも」「遺産」「過去から受け継いだもの」などがあげられます。つまりこれは、レオーネから受け継いだ「ボクスターエンジン+AWD」のことを指しています。
そして、B4は、「ボクサーエンジン+AWD」を語源とした造語であり、見方によってはレガシィと意味が重複することになりますが、スバルのスポーツセダンをイメージさせる語呂がよい車名として、幅広いユーザーに浸透させることに成功したことでも有名です。
また、レガシィは、言うまでもなくスバルの看板車種のひとつであり、1980年代の倒産危機から当時のスバルを救ったモデルで、レガシィという車名には、「この車が売れなければ最後」という想いが込められているとも言われています。
レガシィB4はなぜ海を渡ってしまったのか?
出典:ウィキメディア
レガシィB4はなぜ北米専用モデルになってしまったのでしょうか?その理由は、ミニバンに市場を奪われた日本と違いアメリカや中国の市場はセダンが中心だからです。もう少し辛辣な言い方をさせていただくと、ミニバンを好むのは日本人だけと言われています。つまり、ミニバンを持たないスバルが考えることは、国内市場を諦めて北米市場に合わせた専用モデルを開発するということになります。
具体的には、グローバル・カーの代表的なモデルであるトヨタ・カムリの場合で、2019年度は2000台/月近くの国内販売をキープしておりましたが、北米と中国などのアジア圏を合わせた台数で、国内の2年分相当に値する5万台以上をたった1カ月で販売してしまうのです。また、国内のセダン市場は1000台/月以下が当たり前で、レガシィが海を渡ってしまったのは生き残るための唯一の方法だったのかもしれません。
レガシィB4のリセールバリューは?
出典:ウィキメディア
レガシィB4のリセールバリューは、やはりEJ20搭載のBE/BL系が人気で、とくに「tuned by STI」の6速MTの個体で中古車価格の高騰が顕著に見られます。また、北米向けとなってしまった6代目BN系のリセールバリューが意外に高く、例えば本革シートやEyeSight(ver.3)を標準で装備する人気のリミテッドで、5年落ちにもかかわらず50パーセント以上のリセール価格を維持する個体が多数存在しています。
ただし、デザインが中途半端になってしまった5代目BM系は、非常に厳しい相場と言わざるを得ない状況が続いています。また、4代目までのモデルで買取価格が二極化してしまっているのもレガシィB4の相場の特徴と言えるでしょう。
参考:スバルの買取専門ページです
レガシィB4を高く売るためのコツ
レガシィB4を高く売るためには、状態が良し悪しが非常に重要なポイントになってきます。レガシィの耐久性に関しては、意見が分かれるところですが、傾向としてノンターボは耐久性に優れていて、ターボは繊細で若干故障が多いと言われています。しかし、どちらも日頃のメンテナンスが大切なことには変わりません。
ここで、比較的タマ数が多いBL系レガシィB4のウイークポイントについて簡単にご紹介させていただきます。先ずは、ステアリング系の油圧装置であるパワステポンプです。主な症状はオイル漏れや異音ですが、安価なリビルト品を使って6万円前後の修理代が予想されます。次に、経年劣化により異音が出たりブーストが掛からないなどのトラブルを引き起こすターボ(タービン)です。こちらは、リビルトが無く新品定価が20万円を超えるので、注意が必要です。最後に、マフラーの腐食です。レガシィB4は、AWDゆえに雪国で使用されることが多いため、マフラーが錆びている個体を多く見かけます。修理代は、腐食した個所にもよりますが、最悪の場合はターボと同じくらいの費用を覚悟しなければなりません。
そして、これらの不具合は日頃の運転やメンテナンスで未然に防ぐことが出来るのはもちろんのこと、仮に修理を行った場合でも整備履歴を残しておくことで高価買取の可能性がアップします。理由は、定番の故障個所が修理されていれば、次のオーナーの安心感に繋げることが出来るからです。
[ライター/スバラボ編集部]